フレーバーと加糖

 ムレスナのフレーバーティーを入れるようになってからもう半月ぐらいが経った。ストレートで単純に飲む場合の濃さは大体つかめてきた。先日も少し書いたとおり、いくつかのフレーバーは加糖することによって全く違うものになる。SPOONで飲んだ味をある程度トレースするためには加糖も必要なことは前回書いた通りだ。

 先日、Ikehonとhelionが滋賀に来た際に、SPOONで「午後のお茶会」コースを初めて頼んでみた。といっても別のお客さんのおこぼれで参加したことはあったのだけれど。11時から4時ぐらいまでのあいだ20杯ぐらいのお茶を頂いた。その中で増村さんに自分が紅茶を入れてみた中での疑問点を質問してみた。

 まず、お湯の温度について。沸騰したお湯で入れて香りが飛ばないのかという話し。日本茶では香りをとばさないために、わざと沸騰させないお湯を使うこともあるのだけれどどうだろうか。答えは「沸騰しているほうが良い」との事だった。日本茶の香りとフレーバーティではそもそも香りの付き方が違うようだ。紅茶は黒茶なので完全乾燥している。そこに香りの成分を注入しているので、茶葉が水分を一番吸い込みやすい状態の方が香りが良く開くらしい。ただし、沸騰させすぎると含有空気量以外にも水のPH値が変化する(水の中の二酸化炭素が気化して酸性が弱まる)ようなので沸騰してすぐのお湯がいいらしい。

 次に加糖する意味としては、味は嗅覚と味覚によって決まるということ。鼻をつまんでものを食べると味がしないというのは良く言われる。逆にいえば、臭いを味と勘違いしているとも言える。それほど臭いと味の境目は感覚的にはないのだ。

 ムレスナは基本的に天然香料で素材の香りを取り出してフレーバーとして茶葉に香り付けしている。それは味的な糖質はどうも含まれていないらしい。そこで、加糖することによって香り+糖分でよりそのフレーバーの元になっている果物などの味を楽しむことが出来る。個人的にはハチミツリンゴなどはその典型だ。加糖されるとリンゴの香りが怖ろしく口の中に広がる。

 以前、はちみつりんごが美味くはいらないなぁということで、家にある生協のサトウキビ糖を加えてみた。どうも、甘くなるだけで味に一体感がでなかった。精製糖では甘さがきつすぎて加糖しても甘ったるくなるばかりだ。ということでSPOONで使われている砂糖をお店にいって分けて貰う。砂糖自体が甘すぎず、そのままなめても甘いのではなく美味しい。これで少し試行錯誤してみることにする。

 増村さん曰く、加糖するときは香りを強めにださないといけないので茶葉を多めに短時間で出すのが良いらしい。そのアドバイスを聞きながらも、一度普通に出したハチミツリンゴに加糖してみた。確かに美味しいがもう少し濃い方が糖分とのバランスが良いなということで、増村さんのアドバイス通りと納得する。というか最初からアドバイス通りにやれということなんだけれど、まずは自分のスタンダードでやってどれくらい違いがでるかも大きな経験だからそこは甘受。

 このあたりで、リーフとキューブボックスの差に気がつく。キューブボックスは便利だがこういった量の調整をやるには非経済的だなぁという感じ。

 これで、とりあえず最低限紅茶を楽しむのに必要な道具はそろったかなという感じ。加糖の具合に関しては色々試行錯誤の余地があって面白いだろう。体調に合わせて加糖すると疲れが取れたりして非常に満足できる。今まで加糖して紅茶を飲むことをしなかっただけに新しい発見があっておもしろいなぁ。