[小説]内なる宇宙 J・P・ホーガン


 「星を継ぐもの」から続くシリーズの4部目。今のところ最終巻らしい。そもそも作者は3部で完結のつもりだったので、10年後に出された本らしい。

 前3部はまとまりも良く、内容的にも良く練られていて抵抗無くするすると読めた。今までの3部とこの作品は、登場人物は同じでも異色な感じだ。科学者としてのスタンスというよりも探偵みたいな話しになっている。

 構想的には、最初マトリックス攻殻機動隊のようなバーチャルリアリティ、もしくは人形遣い的な何かを感じさせる作品だと思った。どっちが先なのかは良く分からない。

 良くできたSF作品をみて思うのは、かなり昔のものでも時代を感じさせないものが多いということだ。人の想像力というのはそれほど逞しく、想像に現実が追いつくのは、おっとりがたなだということなのだろう。

 実はまだ、上巻を読み終わっただけで下巻を読み始めたぐらいなので話のオチとしては分かっていない。にもかかわらず、エントリをあげたのには理由がある。

 ここ何日かバタバタとしていたこともあって、まとまった時間の読書をそれほど取っていなかった。私は基本的に本は読み始めると最期まで読まないと気力が続かない方なのだけれど、この本は不思議と切れ切れに読んでもストレスにならなかった。場面展開が区切りとして沢山あるからかも知れないが、ゆっくり読めてなかなか具合がよい。

 今までだと途中まで読んでやめると、再開したときに話の筋が分からなくなっていることが多かった。そういった混乱が余りなく読めているのは、この作品の特徴なのだろうか、それとも自分の中の何かが変わったからだろうか。それを不思議に感じたので何となく感想を書いてみた。