部屋においでよ 原 秀則


 初めて読んだ破局のラブストーリーだったようにおもう。

 とあるパブで楽しい一夜を過ごした水沢文は目を覚ますと自分のベッドの横に昨夜知り合った塩村ミキオという男が寝ていた。二人はその後文の部屋で共同生活を始め、 次第に仲良くなっていく。しかし互いの夢が二人の関係を狂わせていくことに……。 by wikipedia

 いわゆる少年誌のべたべたな恋愛ストーリーとは違う、少し所帯じみた話。当時は同棲という行為そのものが大人の恋愛に見えたのを思い出す。序盤の軽い日常を描いた描写が、後半色々な思いがすれ違ってブルーな展開になっていく。人間関係的に言えばずっとうまくいくことはそうそうなくて、別れなんて当たり前なんだけれど、まだ出会いすらなかった自分にはこのラストは重すぎた。ただ、好きな人と一緒に暮らすことへのあこがれはこの漫画でもったのかもしれない。

 原秀則は「さよなら三角」時代からよんでいるけれど、「ジャストミート」や「フリーキック」などよりも「冬物語」や本作の方が個人的な好みだ。ギャグ路線よりシリアス路線の方がいいかなぁと思う。ある種星里もちるへの評価とまったく逆なのかもしれない。

 ここまで書いてみてやはり途中はともかく自分はハッピーエンドが好きなんだと良く分かった。読後に悲しい気になる作品は二度目を読む気があまり起こらない。そういう意味で、この作品は最初のハイテンションからどんどん気持ちが盛り下がっていったので、後半の印象がほとんど無い。影響は受けているにもかかわらず作品自体には満足できていないという不思議な漫画。