ジレンマ

 少し前の記事だけれど、頭の片隅に引っかかっていたので考えてみる。

 確かに最近はニュー・リリースの記事が多い。ブログの記事のタイトルにウィスキーの商品名を付けることになるのだが、そうすると何故だか読者の数が減るようだ。世の中に数あるウィスキーを皆様にご紹介するのが「モルト侍」の仕事のひとつとの自負はあるのだが、「シングル・モルトのことばかり書いていると、読者の数が減っちゃうんだよな」。トホホ、である。
梅雨だね-モルト侍

 実は私もタイトルが商品名のものは読み飛ばしがちかもしれない。私は基本的にGoogleReaderRSS登録をして購読しているのだけれど、更新の通知が出ると概要を流し読みして面白そうならじっくりサイトへ行って読む感じ。

 シングルモルトに興味があるのにどうして読み飛ばすのかなと自問自答してみた。あたりまえながら、まず第一にblogは絵に描いた餅だからだ。実際barにいて、商品紹介のエントリをちょっと聞いて実物を味わう分にはたぶん楽しく聞けるのだろうけれど、やはり紹介という形だけで出されると読むにはつらいものがあるのかもしれない。愉しみという面で。

 結局blogの記事に何を求めているのかだけれど、大抵は愉しさだろう。皮肉なことなのかもしれないが、

繰り返そう。
僕はあなたの知っていることに興味はない。
僕はあなたの思ったことを知りたい。

 という所がその答え何では無いかと思う。なかなか難しいことかもしれないが、商品紹介はエピソードの中で流れとして紹介されるほうが抵抗感がない。そういう意味で同じ内容を書いていたとしても、多分エントリのタイトルが商品名か、そうでないかは実は大きな差になりえるのではないかと思う。

 同じ商品の話でも、長熟フェアの話なんかは楽しく読んでいたことを考えると、やはり記事そのものにどれぐらい侍の思っていることが込められているかでこちらの興味も変わっているように思う。(これはあくまで私の個人的感想だけれど)

 残念ながら遠方なのと機会を何度か逃したことでJ'sBarにはまだお邪魔できていない、けれどblogを読んで、店に遊びに行けば必ず楽しく満足した酒が愉しめることは確信している。それ故に逆説的に、blogでは侍の出した結果(選んだ商品)にはあまり興味がわかないのだ。その過程が明らかにされていくその道筋の解説を愉しんでいる。チョイスは実際に飲むそのときに聞いて愉しめば良いと思ってしまうから。(来店を促すためのきっかけなんだけれど、WEBでは対象範囲が広すぎてなかなか来店に至れないところが絵に描いたもちっぽさを増幅してしまうのだろう)

 ただ、誤解してほしくないのは商品記事がいらないというわけではない。何故なら私たち読者は勝手なもので、普段は読み物を求めているくせに、いざ自分が何を飲もうか迷ったときはそういえば何か侍が出していたなと、ごそごそと昔の記事をあさったりするのだ。

 商売には2:8の法則がある。全商品が同じように売れるわけではなく、全体の2割が購買全体の8割を占める。そしてなぜか、残りの2割を削ったら経費削減になるかといえばそうはならない。単純に求められている役割が違うのだ。日々の更新という意味では購読は増減しているかもしれないけれど、侍にはそこは「そういうもんだ」と頑張って頂きたい。

 そして私は、J'sBarに一度行きたいなぁと思いつつ、週末に近くのbarでシングルモルトを頂くことにする。偉そうに言うだけというのもアレなので、東京在住の友人連中には偵察をお願いして、今後も微々たるもんだが間接的に侍の売り上げにも貢献していければ、ただ読みにはならないだろうと勝手に思っている。