マチヤ

 大学時代の知り合いにマチヤがいた。彼はY田の友達で写真部だった。少し変わった語り口調のおもしろい男だった。

 私はマチヤの撮る大学の写真が好きだった。毎年撮った写真を使ってカレンダーをつくって学祭かなにかで売っていたので買っていた。

 「俺、マチヤの写真なんかすき」といったら「じゃぁ今度引き延ばしてパネルにしてあげるよ」と言ってくれたけれど、何だかんだとタイミングがあわず結局もらえなかった。

 大学の風景をモノクロで切り取った写真は、何かとても昔の写真のようでとても懐かしいニオイがした。感嘆するような写真ではなかったけれど、傍らに置いていて落ちつく写真だった。

 結構最近まで、自宅の机の引き出しに入れていたのだけれど、結婚するときに机の中を整理する際に一緒に処分してしまった。今ふと思い出すと、カレンダーの写真の部分だけを切り取って取っておくんだったと少し後悔している。

 マチヤに限ったことでは無いけれど、自分が今までかかわりあってきて音信不通な人達が、今どうしているのだろうとふと思うことがある。そういう意味で以前と違ってmixiなんかでふとすれ違ったりすると本当にうれしい。あたりめなんかはその典型だろう。

 自分が関わることはなくても、その人達は世界のどこかで存在していて生きている。そういう人達の今にふと思いをはせたくなるのは何故なんだろう。

 マチヤはまだ写真を撮っているのだろうか。もし何か間違って出会うことがあったら、果たされていない約束をそのときに。

追記
 にっしーさんからマチヤのHPを教えて貰った。やっぱりなんか心に染みて好きだな。更新3年ぐらい止まっているけれど一度メールしてみようかな。