精霊の守り人(原作)

 *ネタバレあるので気を付けてね。

 ということで、アマゾンで頼んでいた精霊の守り人の文庫版を読んだ。児童小説だからひらがなが多いだろうと構えたら全然普通じゃないか。これ小学生読めるのかと思っていたら最後に文庫版は大人向けに漢字を通常使用に変えたそうです。

 とはいえ、とても子供向けとは思えないクォリティでした。もともとアニメで興味を持っていたとはいえ、久々に止まらずに一気に読み終わりました。こりゃぁ文庫版が出たらコンプリートしないとと久々に思った。

 2chのスレッドなどを見ていると、アニメ版は原作と比べてかなり話が変えられていて不合理な部分が多すぎるという批判が結構あった。読んでみてなるほどと思う。この作品の原作を先に読んでいてアニメを見せられると、特に2話あたりが物凄く気になるだろうと思う。

 アニメだと最初の逃避行であっさりとバルサ田圃で追いつかれているように見えるが、小説版だとどういう課程で追跡し、さらに何故あの場所で襲ったかがしっかりと描写されている。実際のコロサズというのも結果論で、描写の中でトドメをさすよりも逃亡することを選んだとの描写もある。

 しかし、私はアニメ版を完全否定しようとも思わない。かなり話の内容は変わっているが、本書であまり触れられなかった筈の重要な事柄も上手く複線として利用していた。ある程度見る物に対して突発的なものでないように最後の収束への複線を張っている。

 前回のアニメの批評で、夏至祭りの描写がと言う話を書いていたけれど、原作を読むとあれはああでなければならないんだと良くわかった。小説では正直その辺りのイメージは掴みにくいのでアニメならではだろう。原作ではサグムへの掘り下げはまったくされていない、チャグムとサグムは数度会っただけだけで兄という感慨もないような書かれ方をしている。しかし、あれは鳥を描くためのある意味副材だったのだろう。タンダに花酒をの回も何故あそこにあの話がという突発的な流れだったけれど、原作を読み終わるとそれも一つの複線ということに気が付く。まぁ私が思っているような幕引きをするのかどうかは分からない。けれど最終回を知ったことで楽しみが減ったわけではなく、むしろ作品が変わっているからこそ楽しめるものができた。

 一つ本当に有り難いことは、文庫はまだ先としてもこの作品は完結していることだ。漫画とちがい小説の完結率は異常に低い。田中に待たされ疲れた私としては、児童小説版といえど完結しているということは本当に嬉しいことだ。

 一回まぁakdあたりに読ませてどういう感想をもつか聞いてみたい。