不思議だとおもいませんか2

 前回ゆっくり飲むと味が時系列になるのがわかると書きました。それは酒の味わいは口の中で段階的に変わっていくということです。これは口の中がアルコールによって刺激をうけてある程度回復するまでの過程だと私は思います。

 アルコールと酒自体の味の口の中への残り方のタイムラグで酒の味わいが決まります。大体のカクテルはこのハーモニーとなるアルコールの刺激自体をほぼ0に押さえたものと考えることが出来ます。ですので酒自体の味の口の中への残り方で味が決まります。これは甘いとか酸っぱいとかの単純な話だけでなくどれくらいその甘さや酸っぱさが口の中に残るかという話になります。

 ショットで楽しむ場合はそのアルコールの刺激が口の中に広がったと同時に揮発していくという現象と酒自体の味が口の中に広がるという現象のハーモニーを楽しんでいるわけです。私的な感じだとアルコールというのはコントラバス的なもの、酒の味はバイオリン的なものになります。

 まぁですからスピリタスをショットで飲むことはコントラバスだけのコンサートを聴きにいくようなもんだともいえます。それはそれで私は好きなんですけどね。普通の人はまぁしませんが。

 もう少し具体的に言うと口に含んだ時点ではアルコールが一番きつく、味よりも度数と熟成具合が一番顕著にでます。同じ度数でも基本的に熟成されている方が口当たりは柔らかくなります。

 そしてアルコールの揮発より少し遅れて酒そのものの香りが口の中に広がります。この時点で少しアルコールの刺激に舌が慣れ味そのものを感じるようになります。そして最後にアルコールはほとんど揮発してしまい、酒そのものの味が後味として残ります。

 ですので安酒と旨い酒の差は後味で顕著にわかります。味があまり無い酒は最初に刺激があって後味が無い、もしくは後味がおかしい。強い酒が嫌いというひとはアルコール度数の高さによる刺激でまずやられ、その後、酒そのもののまずい後味でさらにやられます。普通にまずい弱い酒と比べ二度まずいので余計に苦手になってしまう訳です。

 終わり良ければ全てよしと良く言いますがアルコールそのものの味はどちらかというとマイナス要因です。旨い酒はうま味とその刺激をハーモニーにすることによってうま味を強調させます。(スイカに塩をふると甘みが増す様な感じ)しかし、うま味が無い酒を飲むとマイナス要因がそのままマイナス要因のままなのでとんでもなく飲みにくく感じる訳です。

 ですので洋酒が苦手だという人の半数ぐらいはまずい酒で損をしています。事実うちにきて酒を飲んで洋酒を飲めるようになったという人は結構な数います。そして一つ断っておきたいのはうちにあるのは決して高い酒では無いと言うことです。

 まぁ残りの半分の方はアルコールそのものへの耐性が弱い人で、それは体質的なものなので残念ながらしょうがありません。ただまぁ経験上日本酒が普通に飲めるぐらいの強さがあれば全然問題なくウィスキーは楽しめるはずです。アルコールへの耐性は瞬発力ではなく持久力ですので弱い酒でもそこそこの量を飲めるなら飲み方だけの問題です。

 まぁ長々とウンチクたれて何が言いたいかと言えば、ウィスキー美味しいから誰か俺と飲むのつき合ってよって事ですね。