時には昔の笑い話を
それはまだ大学に入って間もない頃・・・
私は大学の自治会室なるものに入り浸っておりました。
自治会といっても学園祭や新入生歓迎委員会などのイベントを主に執り行っている牧歌的な集まりでした。
自治会室は校舎外の元々はポンプ室の部屋だった為に出入りは時間に関わらず自由でした。
当時ファミコンが置いてあり授業が終わった後先輩が台湾から買ってきた怪しい40in1とかいう一本のソフトの中に40個ゲームが入っている怪しいソフトなどがあったのを覚えています。
5月のある日私は授業が終わり、一度家に帰って風呂にも入って布団に入りました。特に何かがあったわけでは無いのですが上手く寝付けずもぞもぞした私は思い立ったように大学へもどり自治会室へ遊びに行ったのです。
誰もいないかとも思ったのですが、夜の9時過ぎにも関わらずT先輩がソンソン(ファミコンソフト)で100万点をめざしてプレイ中でした。目的もなく自治会室にいた私はその神プレイ(ソンソンで一匹敵を倒しても30点とかしか入らない)をボヤーっと眺めていました。
そんな何とも微睡んだ時間を過ごしていると自治会室のドアが勢いよく開き
「お、○○(私の名前)ちょうど良いところにいた。」
とお酒を飲んでご機嫌様のにっしー先輩が。
「こんばんは、なんかあったんすか?今日はバイトじゃなかったんですか」
「いやぁバイトが終わってちょうど飲んで帰ってきた」
「はぁ、酒好きですねぇ」
今からだと想像もつかないけれど私はそのころ酒が嫌いだった。新歓コンパでも「未成年ですので」とかいって酒をことわっていた事もあったぐらい。
「んで、なんです?」
「いや、今日バイトへ行った後そのバイトのメンツと飲んできたんだが囲碁部にSちゃんって居るだろう?」
「はぁ、居ますね」
「その子もバイトが一緒で今飲んでたんだわ」
「へぇそうなんすか」
私は大学時代囲碁部だったわけですがひかるの碁ブームの前で下火も下火のころでした。部員は先輩3人と当初の新入部員は同じクラスのヒロキとSちゃんとおれの三人でした。
Sちゃんはかわいい子で私は最初に会ったときから「かわいいな、ということはとりあえず俺には関係ないな」という感じでした。
当時の自分にとっては彼女居ない歴=年齢のアレな人だという自覚はあったのでまぁそういう思考に陥るわけです。まぁ今でも基本的にその思考ですが。
「あの子、かわいいなぁ おめぇあの子彼女にしろよ」
「いやぁ、かわいいから無理ですよ」
(何いってんだこの酔っぱらいは・・・ アホカ)
「何いってんだやってみなきゃわからんだろう?」
「はぁ、まぁ気が向いたら頑張ってみます」
(しかしこのおっさん一体何をいいだすんだ まったく)
というアホな会話が執り行われた訳です。
そしてT先輩のソンソンが2週目に入り100万点を超えた頃夜も10時をすぎていました。
そろそろ眠くなりもう一度家に帰ろうかどうか迷っていたその時
バタン
と自治会室のドアが開きました。
そして何故かドアの向こうには半泣きのSちゃんが・・・
次回に続く