深夜の棋譜並べ

1. 人差し指と親指で持つ
2. 碁石を手前に半回転させながら人差し指と中指に持ちかえる

*1

Voice of Stone #998 NHK囲碁講座・美しい石の持ち方

 私が最初に囲碁を覚えたときに、一番一生懸命やったことは詰め碁でも棋譜並べでもなく格好いい石のうちかたの練習だったようにおもう。ヒカルの碁で、ひかるが塔矢行洋と始めてうったとき、流れるような所作に見とれて、自分もああやって打ちたいと思ったというのは、自分には良くわかる。

 私は初心者のころ、坂口隆三九段に毎月家で指導碁をうけていたのだけれどプロというのは手つきが格好いいなぁとずっと思っていた。良くも悪くも、そのおかげで手つきだけは良くなって、師匠に腕はヘボのくせに手つきだけは有段者だなとよく呆れられていた。

 始めた当初は、碁盤の上に石を置くことがとても好きだった。家が碁会所で、座敷だったので最初から足つき碁盤を使っていたのだけれど、あの石を打ったときの抜けるような音と感じがとても好きだった。ずっとその環境だったので、大学にいってシートや折り畳み碁盤でうつと非常にチープな感じの手応えがいやだったことを思い出す。

 昔は、気持ち的に乱れたときに、深夜の碁会所で一人電気を付けずにもう暗記していた藤沢秀行の碁を碁盤に向かって並べると何となく心が落ち着いた。瀬碁盤の前に居住まいを正してゆっくり石を運ぶと、静かな夜に石が碁盤に抜ける音だけが響く、そうすると何故か心が落ち着いた記憶がある。

*1:hide-wさん画像引用が不適切であれば消します。