なかなか難しい

 さざなみさんに、紅茶好きの人に紅茶をプレゼントしたいので相談にのってくださいと言われた。以前にスプーンの紅茶(ムレスナティー)はかなり良いですよと熱弁したからだろう。

 甲子園にあるムレスナ本店にいったときの衝撃はすさまじかったのだけれど、これが全ての人に通用するかどうかというのは非常に難しいところだ。自分も含めて自称紅茶好きというのは、皆個人的なこだわりとこだわり先が違うので知らない人に勧めるには相当勇気がいる。

 そもそも、紅茶好きはフレーバーが好きな人と通常のダージリン等のブラックティー(フレーバーがついてないという意でこの場では扱う)が好きな人で二分されてしまう。私は後者なので、ケミカル臭いフレーバーティーはノーサンキューというのが今までだった。

 人口香料はとにかく鼻について、紅茶は味気なしというものが多い。多分茶葉のグレードを下げて香りでごまかすことが出来る分、フレーバーのほうがブラックよりも粗悪品が多いからだろう。大体、ブラックが好きな人間はフレーバーはアールグレイが限界何じゃないかなと思う。

 そうした背景のなか、おタキさんの紹介でムレスナの本店で紅茶のフルコースを飲んだ訳だけれど、ここのフレーバーティーはどれも素晴らしく美味しかった。社長曰く「ケミカルでなくナチュラルだからだよ」とのこと。まさしく鼻につくようないやらしさがなく、紅茶とよく馴染んでいる。あとベースになっているセイロンが素晴らしく癖のない茶葉だというのもあるだろう。

 まぁそういうことで、私はムレスナのフレーバーはかなり評価しているのだけれど、これを他人に贈るのは非常に難しい。特に知己が無い紅茶好きの人には。

 それは逆の立場に立てば良く分かる。私が紅茶好きなのを知って茶葉を頂くことは結構あるのだけれど、なかなか趣味に合うものというのを頂くことは少ないし、特にフレーバーは失礼な話だが、まず封を切る気にならないのだ。それが分かるだけに「知り合いの紅茶好きにあげる茶葉を選んで」といわれる非常に困る。

 ということで、フレーバーは諦めて定番どころでダージリンあたりかなと考えていた。最初は通販で買うということだったので、ムレスナの楽天店があったのを思い出して覗いてみたのだけれど、ラインナップを見て、こりゃぁ社長やる気無いなと一瞬で分かった。グレード、品種ともにまったくもってやる気が感じられない。当たり前の話といえば話。社長自体分かる人に買って欲しいという思いがあるので対面販売にこだわりたいのだろう。

 ということで、一応さざなみさんにはWEBのURLを送ったはものの、非常に胸の中にこれでいいのかなぁという思いがあった。そうしたところ、たまたま仕事上のつき合いの専務がごはんに行こうとのお誘いがあったので、SPOONに行って紅茶を買ってくることにした。さざなみさんに電話をして直接店で選んできますとWEBで買うのをとどまって貰っていざSPOONへ。

 増村さんに聞きながら選べば良いやと思っていたところ、本店は臨時休業。あきらめて野洲店に急遽変更。まぁこんな機会がなければ野洲店に行くことはなかったろうけど、こちらもなかなかだった。それはまた今度。しかし、野洲店でも茶葉を売っているのだと思っていたら、キューブボックス(ティーバッグ)のみでリーフ売りはしていないとのこと。うへーと思っていると、本店は営業していないけれど、リーフを買うだけなら構いませんよとのことで無理をお願いして本店へお邪魔させてもらった。

 増村さんは広島出張でおられないということで、ゆうこさんに茶葉を紹介して貰う。今日は朝から茶葉が大量に入荷して店舗は段ボールの山。整理のために泣く泣く臨時休業にしたらしい。大変だなぁと横目で見つつ事情を話し、予算とにらみ合いながら茶葉を選ぶ。

 WEBサイトと全く違うラインナップと金額なので笑える。WEBサイトで選べる一番高いリーフ、店舗の一番安いリーフが同じぐらい。ダージリンと何かを買いたかったのだけれど、予算的に足がでるのでセイロンとアールグレイにしてみた。アールグレイはある種賭に近いが、実際に自分で茶葉を見てみてフレーバーティーが苦手でも大丈夫だろうと判断して選んだ。はずしたらさざなみさんに謝る方向で。

 ということで、人に頼まれた買い物で何故か自分が満足しているという本末転倒なことをしてしまったのだけれど、贈られたひとが喜んでくれると良いのだけれど。