良寛生誕250年 大和し美し 川端康成と安田靫彦

 さすがに食べ物の話だけに終始してしまうのは格好が悪いので、展示についても少し触れたいと思う。ミホミュージアムに行ったら特別展として上記の催しがなされていた。

 川端康成といえば私の中では「名人」がやはり一番印象深い、というかそれしか知らない。最期の本因坊を書いた話だ。本因坊秀哉と木谷實の実話がもとになっているらしい。

 展示の中には名人の手書きの原稿もあった。

 少し前から、字を書くことを意識しだしたのだけれど、こういったいわゆる達筆な字体の良さは正直まだ分からない。記号というよりは絵画に近いのだろうなと思う。

 こういった展示を見るときは、基本的に解説を最初に読まないようにしている。初見で自分が何かを感じれば解説を見る感じだ。こういったものは本当に個人の嗜好だけの問題だと思っているので、自分が気に入ったものを先入観無しに見たい。

 今回の展示で一番目に付いたのは、手のブロンズ像だった。ブロンズ像の後ろに、像をみる川端康成の写真が飾られていた。それを見て、なんとなく勝手にそのときの川端康成の気持ちが分かる気がした。ついつい見入ってしまいたくなる何か味のある手だった。そのあと解説カードを読んで、ロダンと書いてあり「ああ、これがロダンか」と思った。

 正直今までブロンズ像には興味もなかった。佐川美術館に行ったときにみたブロンズ像は残念ながら私はなにも感じられなかった。今までは知識として知っているに過ぎなかったロダンという名前に、何か血液が流初めて温度を感じるようになった。面白いものだ。

 お茶道具なども色々と展示されていた、今まではあまり興味がなかった棗や茶杓なども以前に比べると身近に見られるようになった。最近色々と知識に血が入ったなぁと思うことが多い。お茶を始めたわけではないけれど、触れる機会は確実に増えたから。

 展示されていた中では、柳があしらわれた棗、桃山時代の黒の茶碗が印象深い。青磁の皿も目に止まるものがあった。土ものに関しては、信楽にもう10年近く毎月通うようになったので流石に自分の好き嫌いは分かる様になった。善し悪しはとんとわからないが。

 そんな感じで、特別展のほうは結構たのしめた。常設展はさすがにもう2桁訪問しているのでそれほど感慨深いものはない。正直なところ個人的にここの常設展はちょっと展示に節操が無いかなぁと思わなくもない。どう感じるかは人それぞれだろうけれど。