ミホミュージアム

 もうすぐ誕生日ということで、好きなところに遊びに行こうと言われたので久しぶりにミホミュージアムに行って来た。天気は小雨だったけれど、濡れた美術館というのもそんなに悪くないと思う。

 正直なところ、私はこの美術館に展示物が目的で来たことがない。一応確認はするのだけれどおまけみたいなものだ。本末転倒なのかもしれないがこの美術館のかもし出す雰囲気が好きなのだ。

 信楽国有林のど真ん中にあるので、見渡す限り山ばかりで殆ど人工物の見えないところだ。所々山の中に送電線の鉄塔が見える程度だ。

 この美術館は、下のエントランスホールから美術館本体の間が結構長めの小道になっている。晴れていれば歩くと気持ちよいし、疲れたり雨が降っていればその道の間をゆっくりと電気自動車が定期的に運行している。少し坂になった大きめの道は桜並木になっていて、春には満開のしだれ桜が愉しめる。

 もう一つのお目当てが、下のエントランスにあるレストランで昼食をとることだったのだけれど、ついた時間が開店の30分以上前だったので、小雨のなか、エントランスから美術館までを一旦歩いてみることにした。

 少し肌寒いなか、傘を差しながらゆっくりと美術館まで歩いてみる。その適度な距離が私は好きだ。この美術館は桃源郷をイメージした作りなっていて。エントランスは下界、美術館は桃源郷という設定になっている。小道の途中には結構長い大きなトンネルがあり、それを抜けると別世界にでるというイメージになっている。そのため、トンネルはわざと大きく曲げてあり、両方の入り口が同時に見えない様に設計されている。

 木々はまだ紅葉というには寂しいほどしか色づいてはいなかった。もともと落葉樹はあまりないようだ。松の木に「こも」がまかれている。おタキさんが外国人に「あれはなに?」と聞かれると、ふざけながら「あれは松が寒さで風邪を引かない様に腹巻きの代わりにつけるんだよ」と答えると結構信じるらしい。後でちゃんと本当のことを教えるらしいが。

 そのまま地下の電気自動車乗り場まで歩いて、そこから電気自動車でエントランスにもどった。地下ホールにいた職員さんには変な人と思われたに違いない。

 エントランスに戻り、レストランにいくと10分前にもかかわらず20人以上のひとがすでに並んでいた。ここのレストランは少し高めだけれど自然食品をつかっていてとても美味しい。

 私の目当てはここの豆腐。別に豆腐だけたべても良いぐらいだ。ここの豆腐は私が食べた豆腐の中では一番美味しいと思う。醤油でなく粗塩で頂く。しかし、ここの豆腐は単品でも頼めるのだけれど、メニューには何故か載っていない。どうしてだろう。その日は雨だったからか、野菜スティックやスナックのようなパンがサービスで付いてきた。何だかんだで空いていた小腹を満たして美術館に今度は電気自動車で向かう。

 常設展と特別展示を楽しんだ後、美術館内のカフェへ。このカフェも品数はそれほどないけれどなかなかのものだと思う。私は何故か肌寒いのにアイスを、おタキさんは紅茶とモンブランを頼んでいた。アイスにはサービスですといってお茶がついてきた。なかなか美味しいお茶だった。

 私はあまりケーキには興味はないのだけれど、おタキさんはこのモンブランは今まで食べたなかで一番おいしいといっていた。一口頂いたけれど確かに上品な良い味だった。着物メンツはこういう所を喜ぶだろうなぁ特にケンソウさんがケーキを食べたらとか、ふと思った。

 喫茶店で紅茶がでてくるときについてくるミルクで、そのお店をはかることがある。まずフレッシュかミルクがでてくるか、ミルクが温められているかを見るわけだ。今回は紅茶自体の香りもよかったし、ミルクも温められていた。おタキさんは少し渋いかもといっていたけれど、私はアイスが濃厚すぎて渋みを感じなかった。ケーキに合わせてあるのかもしれない。

 しかし、静岡産の紅茶というのは銘柄という意味ではどうなるんだろう。あまり国産は飲んだことがないので不思議な味だった。おタキさんはアッサムぽいといっていたが私はスリランカぽいかなぁと思った。

 何だかんだで3時間半ぐらいのゆっくりした時間を過ごせてとても良かった。やはりここは心がおちつくなぁ。本当は展示のことも書こうと思ったのだけれど、長くなりすぎるので別エントリで。