幽霊船

 無意識にいいわけてきな言い回しが多くて、それに気がつくと非常に自己嫌悪に陥る。それは本当に無意識で、自分の中で自分を守るために、もっともらしく相手のためを装った言葉を吐く。

 以前は全く気がついていなかったのだけれど、今頃になって昔に言われていて、その当時意味がわからなかったことの正体が分かり始めた。ようはきれい事に逃げていてずるいのだ。

 何かトラブルがあったときに、とりあえずそれから逃げたいという強烈な欲求が体を襲う。なおたちが悪いのはその欲求を素直に自分自身で受け入れられず、湾曲した形で外部にでること。

 極論的にいえば、私の優しさはすべて逃げやあきらめ、怠惰からきているといっても過言じゃないと思う。そうだとしても、自分が向いている方が前だとこれまた開き直るべきなんだろうか。

 自分はこれからどうしたいんだろうな。思考的な指針はともかく、どう「なり」たいという姿がちっとも思い浮かばない。自分が到達したい像がまったく見えないなかで、行き先の決まっていない幽霊船のような状態で今に流されていく。

 目的地に向かって航海している船の前に、ふらりと幽霊船が流されてきたことで進路を変えざるを得なくなった船はきっとよい迷惑だろう。

 舵が壊れているわけではないのだから、どちらかに舵をきればいい。どこへ行くかは分からないけれど、せめて他の船の針路を邪魔しないように・・・