正しさの多様性

 思いを形にするには力がいる。自他にかかわらず。

 今になって分かることが沢山ある。今となっては遠い昔、正しければ人はついてくると思っていた事があった。「正しいこと」は人の数だけあってそれだけでは人は動かせない。正しさは信頼関係の土壌に初めて成り立つ。なぜなら、他人の正しさを認めるにはまず相手の価値観を理解し共有しなければいけないから。そんな当たり前のことすらよく分かっていなかった。

 私が色々なことが出来たのは、事前に何かをきっかけに信頼関係を築いていたから。とうじはちっともそんなことは分かっていなくて、自分の正しさに人がついてきていると思っていた。後からよく見直してみれば、間違っていることなんて当然沢山あって、それでもみんなは私のなかに何かを感じたからついてきてくれていたのだろう。

 仕事を始めた頃は、そのギャップを自分自身で吸収しきれなかった。お客さんは正しいから購入するわけではない。何かに納得したから購入するのだ。お互いの価値観に適うことで仕事として成立する。そんなことを今更考えている。

 正しさの多様性を受け入れることができれば、人はもっと理解しあえるだろうに。