大事にする

 それはどういう事だろう。大事にするというのはなかなか難しい。

 たぶん、本来の能力を最大に発揮させた上で尚かつ丁重に扱う事を指すのだろうと思う。ただありがたがって、それこそ祭り上げるのは大事にしていると言えるのだろうか。それが祭られるべきものだったら良いのだけれど。

 正直なところ、私は大切にするということ何か勘違いしていたように思う。使わずに大事に大事にしまっておくことが全てだと思っていたからだ。

 それをそのままの状態で置く事が大事にすることだろうか。使わなければ確かに傷も付かないだろう、でもそれは変化することを否定しているのだろう。

 「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という言葉がある。この前Psychsにもらった本に書いてあった「人の変化」の話。私の中で前述の川の話はそのまま人になるのだろう。

 人は個人として生きていくけれど、でももとの自分ではなく日々変化している。大事にするということは突き詰めれば変化の過程を重要視することではないだろうか。

 そして過去の自分は、自分であって、でももとの自分では無いまったく別のものなのだと思う。だとすれば、過去にこだわることなく自分は変化を続けていけば良いのだろう。脱皮する蛇のように抜け殻が事実として残っていくことになる。

 だとしたら、人は生き続けると言うよりも常に死に続けているのかもしれない。