ハーモニー

 月1の信楽の仕事。今日は作家さんの都合で大幅に仕事が遅れる。普段は4時過ぎに終わる仕事が、電話をすると7時ぐらいになるかもとのこと。

 結局、間の5時半ごろに終わったわけだけれどギリギリに窯から出された作品群は、私にとって非常に珍しいシーンに出会わせてくれた。

 すでに展覧会会場にあった作品から順次写真を撮り始める。途中で作家さんが来られて窯から出されたばかりの作品達に値段とナンバーシールを貼り付け、会場に並べていく。

 それを後目に、作品を並べ続ける私。少しすると、「チーン」という風鈴のような音が聞こえる。気のせいかと思いそのまま続けていると、また「ピキーン」と少し違う音が。

 クーラーの風で何かが当たっているのかと思って、気にしないで写真を撮り続けていた。するとまた音が。同じ場所じゃなく色々な所から少しずつ違った音が聞こえてくる。

 作家の方に「先ほどから音がしていますが、何なんでしょう?」とお聞きすると「窯から出したばかりなので作品にカンニュウ(陶器に入るヒビ)がはいる音です」と教えて頂いた。

 100点以上ある作品群のなかから、色々なカンニュウが入る音が聞こえてきます。会場には私と作家さんしかおられず、しーんとした中での作業でしたのでそんな音をゆっくり楽しみながら今日は仕事をしてきました。

 結局、私が帰るときも音は収まらず鳴り続けていました。焼く温度が高いとカンニュウが入りやすいのでこんな風に窯からだすと日常的に音が鳴るそうです。7年ほどこの展覧の仕事をしていますが初めての知らないと神秘的な体験でした。綺麗な音でした。

 この仕事はいつも目の保養だとおもって半分趣味でやっていますが、まさか耳の保養になるとは思いませんでした。