大津祭り

 地元の県庁所在地の祭りだというのに県外の人間が行くということを聞いて初めて存在を知った。私はあまり一人では外に出ない人間なので、祭りなんかは本当に知らない。自分の交際範囲の人間がどういったところに出入りするかで私の行動範囲が決まってしまう。

 大津祭りは祇園祭に似た山車がありちまきをまいたりするお祭りらしい。祭りそのものにはそれほど興味もないのだけれど、やはり祭囃子を聞くと少しは心が躍るのはやはり日本人だからだろうか。

 先日東福寺で行われたコンサートに行ったのだけれど、その時に出演されていた歌手の方が、もともとボサノバなどのを歌っていたのだけれど、最近は童謡などをアレンジして歌うことが殆どだという話をされていた。昔は童謡なんか見向きもされなかったそうだが、阪神大震災のおりに自分が追いつめられたときに口ずさみたいと思ったのは小さい頃うたった童謡だったそうだ。

 そういった話は何となく自分にも感覚的にわかる。血という言い方はおかしいのかもしれないけれど、やはり自分が育ってきた土壌にあるうたというのは何曲か私の中にもある。私は放歌が好きなので、一人の時にひっそりと昔うたっていた歌をうたう。真っ暗な部屋の中で酒をあおりながら放歌する自分を客観的にみると変な人なのだけれど、それはそれで何か懐かしいものを思い出して心がおちつくのだ。