入手困難

 今年も忘年会でピェンローをやった。ピェンローの詳細はこちらにも書いてあるが、食べた人は大抵もう一度食べたくなるマイナーだけれどとても簡単で美味しい鍋だ。今年も好評で、akdの3歳の息子が「あふろんうまい」と踊りながら10回ぐらい叫んでいたぐらいだ。

 レシピをみてもらうと分かるが単純な分材料のごまかしがきかない。なので、忘年会でやるときは、どれもそれなりのグレードのものを用意するようにしている。塩は私の個人的な趣味で10種ぐらいは手持ちであるので、それをそれぞれが好きなように使っていた。

 ピェンローの材料は、豚バラ、鳥モモ、椎茸、白菜、緑豆春雨、塩、ごま油、一味唐辛子とこれだけだ。この中で安定して入手が一番難しいものはなにか分かるだろうか。

 実は美味しい白菜だ。他のものは値段相応のグレードがあり、お金があればそれに見合わせた分の安定した品質のものが手にはいるのだが、白菜だけはどうしても難しい。そもそも高い白菜というのが存在しない。むしろ本当に美味しいもののほうが安かったりするから始末が悪い。

 実は、そういう意味で今年のピェンローは失敗だったという思いがある。そもそも白菜が美味しくなる季節には少し早いこともある。今年は比較的暖かかったので余計に白菜の甘みよりもえぐみが気になった。煮るとそれほど分からないのだけれど、生で芯をかじると美味しいかどうか一発で分かる。

 そもそも私は、白菜とおあげの煮物などは嫌いだった。それが、大学時代先輩の作ってくれた白菜の煮物はとても美味しかったので驚いた。とても上品な甘みがあっておいしいのだ。調理法を聞いても特筆したことはしていなかった。ちがったのは無人販売で売られていた野菜だっただけだ。そして、自分で食べてみて地元の野菜事情の悪さに気がついた。

 今まで、手に入れた白菜で一番美味しかったのは、一回目の忘年会のときに、前の職場のおばさんの自家製の白菜だった。当たり年だったということもあったのだろうけれど、素晴らしく美味しい白菜だった。どれくらいかといえば、その時の参加者に美味しいよといったら、鍋に入れるまでに1/3ぐらい無くなる勢いでみんなが囓ったぐらい美味しかった。それぐらいの白菜でピェンローをやればどんなに美味しいだろうか。

 まぁ、野菜は季節のものだし、その年々の出来を味わうのも一興なのだけれど。それにしたって、出来が悪い年なりに美味しいものを頂きたいじゃないか。