フォルコローレとソンコ・マージュ

 とあることから岐阜にソンコ・マージュさんのフォルコローレの演奏を聴きに行ってきた。そもそも、フォルコローレ自体が何なのかも分かっていなかった。ギターの演奏会なんだろうぐらいの認識だった。

 ソンコ・マージュさんについてはwikipediaを参考頂くとして、何の前知識も全くないままコンサートは始まった。

 演奏が始まって数分して、私は土と風を演奏に感じた。演奏からこれほどのイメージをうかべたのは生まれて初めてだった。恐ろしく心の中に何かが入ってくる。まず第一にますむらひろしのアンダルシア姫が思い浮かんだ。そして、遠い昔に体験した森のなかで風を感じながら火を囲んでいた時の記憶が恐ろしい勢いで広がる。なんとなくこれはインカがルーツだと感じる。パンパという言葉がでてきてやはりと思う。

 演奏に聴き入りながら私は、この曲はコンサートホールで聴く曲ではないなと思った。もっと自然に近い人に基づいた曲なんだと思った。歌詞も何も分からないけれど曲ごとに色々な風景が思い浮かぶ。演奏しているソンコ・マージュさんの手はとても綺麗で見入ってしまう。

 前半が終わり休憩が入ったとき、感じたことを言葉にするとなぜか涙が溢れてきた。今までコンサートで泣いたりしたことは一度も無かったのだけれど自分でも何がどうなのかはよく分からない。曲が流れているときというよりも思い出すだけで何かがこみ上げる。とても不思議な感覚だ。感動ということばが陳腐に思える。

 後半の演奏では太陽の光を感じる。本当に不思議な体験だった。今までこんな事は一度も無かったし本当に来て良かったと思った。

 コンサート後、ソンコ・マージュさんとお話をする機会があった。買ったCDにサインをして頂き自分が感じたことを素直に伝えた。「先生の演奏には、土と風と太陽の光を感じました。本当に素晴らしい演奏をありがとうございました」と。そうすると先生は「感じてくれてありがとう。私は音楽でしか何かを伝えられない。尊敬なんかはしなくていい、ただ共感してほしい」と仰って色々とお話を聞かせてくださいました。

 コンサートの副題は「大地は泣いている」だったのだけれど、まさにその通りの演奏だった。うまくこの思いを言葉にできない。