ふと見せる横顔

 と言っても別に色気のある話ではない。週末にぴょんちゃんの家に久しぶりに泊めてもらう。お兄さんもおられたので3人で家の近くにのみに行く。

 ぴょんちゃんとは、研究会やその他で色々な場所で飲むことがある。普段はプロ棋士であることで周りにいるのは友達とお客さんの微妙なラインなのではないかと思う。ぴょんちゃんがいわゆるボス的な立場な事が多いので、身内のしかもお兄さんという目上の頭が上がらない立場の人が同席している姿は新鮮だ。

 普段見せない、甘えとか拗ねを見ると失礼な話だろうが何かほほえましく感じてしまう。

 ぴょんちゃんへ私は普段あまり意見を言わない。勝手に私が、求められているのは聞くことで言うことではないだろうと思っているだけなのだけれど。

 めずらしく、怒られるかもしれないと前置きをしたうえで少し自分の思っていることをはなしてみたりもした。普段なら言わなかったのだろうけれど、お兄さんがいるその場の雰囲気ですこし話してみたい気になった。

 ぴょんちゃんは良くも悪くもまっすぐだと思う。真面目だからこそ、他人に対して許せないことは沢山あるだろう。そしてかなりしんどいことも多いと思う。でもそれを曲げて生きることは出来ないんだろうなと思う。

 その真っ直ぐであるが故のストレスを、うまくお兄さんがさばいてくれているんだと感じた。兄弟の居ない自分にとっては少し羨ましかった。

 そんなことを思いながら飲んでいたら、研究会の前日で程々にしておこうと思っていたのだけれど、気が付くと焼酎のボトルは3本目になっていた。