棋力

 囲碁界のアマ棋力の査定は、かなりいい加減なものである。

 ネット碁の普及で、随分と全国的なレーティングが分かるようになったが、それでも碁会所の棋力査定は地方によってバラバラである。

 免状発行が、棋院の財源になっている背景があるので仕方がないのだろうけれど、金額の割にはありがたみが無いなと私なんかは思うので免状取得にはとんと興味がわかない。

 公式の査定でいうと、たしかアマの最高段位が8段で資格が世界アマ優勝、7段が世界アマ代表だったと記憶している。一般的に公式に授与される段位は6段までだと考えると、現状はとてつもなくインフレと言える。

 都心に近づくほど段位は厳しくなっているはずなのだが、碁会所によっては、6段を名乗っていてもアマで4子置かされることもあるぐらいだ。(1子1段計算だと上手は10段になってしまう)

 うちの碁会所も、当然のごとくすさまじいインフレ状態。滋賀だと甘い方ではないだろうか。私の目測で大体世間より2段甘い気がする。うちの親父は5段でうっているけれど、実質私との手合いは私が2子置かして勝負だろう。

 私自身は普段、4段を名乗って打っている。以前ぴょんちゃんに、一応どこへいっても4段なら打てるだろうと言ってもらったからだ。場所によっては不都合が出たりもするが、あまり気にしていない。

 大体、学生碁会にいた人間は段位が辛い。フィールドが違うといえばそれまでだけれど、大学碁会は辛く高校碁会は甘いように思った。高校碁会は地方にもよるのかもしれない。

 町の碁会所にいってるぶんには、段位はどうでもいいのだけれど、段位不定ネット碁会所に最初に入るときに非常に困る。

 元々私は、幼少から碁をやっているわけではなく、高校三年生に独自に覚えたためあまり碁会に横の人脈がない。大学時代はそれなりに碁を打っていたが、それでも東北大の囲碁部OBと若干交流があるぐらいでそれほど学生碁会に詳しいわけでもない。

 同年代でライバル的や友達的に碁を楽しんできた人間がいないのだ。周りに居た人達は常に私にとっては圧倒的な強者すぎた。

 私はネット囲碁は好きではない。碁石を持つ感覚が好きなのと検討をきちんとしたいからだ。実家の碁会所で打つのも最近は全くしていない。奈良研究会に参加するまで囲碁とは疎遠だったと言える。

 対局数が少ないとどうしても勝つことに対する意識が下がる。izumoyaさんの言うとおりひりつくような緊張感の下での対局は本当に実力を上げてくれる。大会で勝っていこうとすると、その部分を避けて通るわけにはいかないのだ。

 そう思って一時期タイゼムに変わる前の関西棋院ネットに参加していたが、参加したら30勝5敗ぐらいの成績で適正段位になるまでえらく苦労した。なったと思ったらタイゼムに急に変わったのでショックをうけて一時期対局をやめたほどだ。

 この10年を振り返ってみると、対局している時間と勉強している時間の割合は多分1:30ぐらいだろう。ここ何ヶ月こそ一ヶ月に1回は奈良で対局するようになったが、それでも月に4〜5局しか打っていない。

 今日久々に方円の迷宮のログを見てみたら、この3年間(1000日ぐらい)の間で1日24問の詰め碁をさぼったのが5日、単純計算で24000回詰め碁を解いたことになる。それと大体、一週間に4〜5局は棋譜を並べているのでおよそ650局ぐらいは並べた計算になる。

 それに対して対局数はたぶん100局を越えていないだろう。この比率は実は非常にめずらしいのかもしれない。というか真面目な話しで対局するのが億劫なのだ。

 かといって、熱心な囲碁ファンかといえばそうでもない、週間囲碁も家で取っているが殆ど見ていないのでタイトル戦などの事情も全く知らない。NHK杯も親父は見ているが私は殆ど見ていない、というか見たら寝てしまう。

 という風に、私の囲碁に対するモチベーションは何なのか、実はさっぱり自分でも分からない。

 ただ、気分がむしゃくしゃした時や寝られない夜に、藤沢秀行会心の白番の棋譜を並べると心が落ち着くことだけは知っている。

 自分の着手はもっさいので目もあてられない。勝ち負けよりももっさい手を打つとそれだけで気分が悪くなって投げたくなる。というか学生時代は実際そこで投了していた。逆に相手にもっさい手を打たれても萎えてしまってどうでもよくなる。なんともわがままな話しだ。

 と言うような形で囲碁引きこもりをしているので、いまいち自分の棋力が判明しない。昨日たまたまぴょんちゃんと喋っていて私の棋力の話しになった。初めてお会いする人への紹介だったのだが、相手の方は初段と紹介されて、私は弱いとき初段、強いとき5段と言われた。

 それは差がありすぎだろうと思うのだけど、奈良研究会でさんざん「この局面から負けるのは考えられない」と言われている『負け方アーティスト』なのでそれも仕方ないかなと。

 ここ最近ちょっと考えが変わって、勝負にこだわって見ようかと思っているので、もう少し頑張ってみようかと思う。それでもタイゼムを開いて対局するのは億劫なのだが。