馴染み

 自分の周りに置くツールはやはり馴染みがある方が楽しい。インスピレーションというかものに対する「これがほしい」という感覚には五感のどれかに強く訴えかけるものがある。

 ある程度経験があるものだと、視覚から触覚を想像できたりして妄想は膨らむばかりだ。

 私はものを買うときにそれほど下調べするタイプではない。気に入ったものがあればそこで即決するタイプだ。もっと良いものがあるかもとは基本的に思わない。むしろ、そう思うときは気に入っていないのだ。

 気に入ったものは、意味もなく触ってみたくなる。たとえば去年の誕生日に貰った辻さんのグラスなんかもそうだ。あれは視覚で入って、さらに手にはいるまでの間こういった手触りだろうなぁと妄想して、実際に手で触ってみてその通りで本当に満喫した。

 道具からシチュエーションを考えるのは楽しい。まさに妄想の世界だけれど、グラスであればこういうものを入れれば綺麗かなとか、これに合わすコースターはどうしようだとかはじける妄想が止まらなくなる。

 私はものの善し悪しもあるけれど、一度気に入ったものは長く使いたいタイプだ。もっと良いものが出ても馴染んだものを変えようとは思わない。それだけに気に入ったものだったら別にそれなりの値段でも構わないと思っている。むしろ高額で買ったものの方が手入れであったり取扱であったりが丁寧なので結果的にパフォーマンスが高いことが多い。

 この誕生日に革の財布を貰った。色々検討してアスバにオーダーメイドで作ってもらうことも考えたのだけれど、土屋カバンのオイルヌメ革の財布を選ばしてもらった。

 もともとはakdの文庫用のオイルヌメ革ブックカバーを見せて貰って「これは良い物だなぁ。akdが気に入るのもわかる」と思っていた。たまたま、その後財布を色々見ていて、土屋カバンの京都のお店にもいってみたのだけれどもう一つびびっとくるのが無いなと店を出ようとしたとき、別途に飾ってあった件の財布を見つけた。

 第一感は「あ、あれと似た手触りで良いな」という感じだった。実はakdのブックカバーが土屋カバン製というのは後からakdに聞くまでは全く知らなかった。そりゃ似た感触だわなぁ作ってるところ同じなんだもの。

 実際に手元に届いてみると、予想よりかなり大きくて使い回しはもう少し馴染まないと厳しいけれどそれを補って余りあるほど手触りが良い。意味もなくカバンから出して触ってしまうほどだ。我ながらアホだと思うけれど。

 そして、最近買ったGX100。写真は以前から興味はあったけれど、なかなかこれというカメラが無かった。予算的にだったり使いで的にであったり。マチヤの勧めで色々しらべて買ったけれどこれも当たりだった。

 GX100も手への馴染みが尋常じゃなく良い。私はカメラは全然分からない素人だけれど、素人が色々やりたいと思っても違和感なく触れるのが素晴らしいと思う。形へのこだわり、UIへのこだわり等、物を作ってる人間として見習いたいなと思う。とにかく使っていて楽しい道具なのだ。

 blogにもっと写真を載せたいと思っていたし、撮影自体は仕事柄必要なのでそれほど無駄な買い物にはなっていないだろう。カメラを持ったことでちょっと散歩してみたいとか自転車にのってどっかに行ってみようかなぁという気にどんどんなっている。現金なもんだ。